営業1on1の質問例30選|数字と案件を部下育成につなげる面談の進め方

営業1on1の質問例30選|数字と案件を部下育成につなげる面談の進め方

営業メンバーとの1on1で、何を話せば成長につながるのか分からない。売上や案件を確認すると詰問のようになり、雑談を増やすと営業成果の話ができない。この悩みは、1on1の目的と質問の順番が整理されていないときに起こりやすくなります。

営業1on1は、数字を報告させる時間でも、人事評価を伝える時間でもありません。本人がどの工程で困っているかを言葉にし、次回までに試す行動と、上司が行う支援を一緒に決める時間です。数字は本人を評価するためではなく、支援の優先順位を決めるために使います。

この記事では、営業の1on1で使える質問例を、数字・案件・スキル・意欲の4つに分けて紹介します。30分の面談の進め方、詰問に見せない聞き方、面談記録の残し方も、すぐ使える形で解説します。

この記事で分かること
営業1on1で数字と案件をどう扱えば部下の防御反応を減らし、具体的な成長行動へつなげられるかを解説します。

営業1on1の目的は「本人の課題」と「上司の支援」をつなぐこと

営業では、目標、案件、行動量、商談スキル、顧客との関係づくりなど、多くの要素が成果に影響します。そのため、売上が未達だったという結果だけでは、何を支援すべきかは分かりません。

1on1では、本人の数字や案件を起点に、「どの工程で止まっているか」「本人は何を難しいと感じているか」「上司やチームは何を支援できるか」を整理します。面談の最後には、本人が試す行動と、上司が行う支援を一つずつ決めます。

面談の目的 確認すること 面談の終わりに残すもの
数字の確認 どのKPIに変化があり、どの工程で差が出たか 次に見る数字または事実
案件の整理 次に誰が、いつ、何を決める案件か 優先案件と次回アクション
スキルの育成 本人が再現できた行動と、伸ばしたい行動 次に試す一つのスキル・質問・準備
意欲・状態の把握 本人が困っていること、支援を求めること 上司が行う具体的な支援

この4つを毎回すべて深く扱う必要はありません。30分の面談では、本人が今もっとも話したいテーマと、成果に最も影響しているテーマを一つ選びます。

1on1が詰問や報告会になる3つの原因

売上や行動量から始めている

面談の冒頭から「今月の売上はどうですか」「アポイント数が足りませんね」と始めると、本人は評価されていると感じやすくなります。最初に「今週、話しておきたいことはありますか」「うまく進んだことと、止まっていることは何ですか」と聞き、本人の見立てを先に確認してください。

上司が答えを先に持っている

上司が「提案数が少ないのだから、もっと訪問を増やすべきだ」と決めている場合、質問は確認ではなく誘導になります。本人が見ている事実を聞き、その後で上司の仮説を一つの選択肢として提示します。

面談の最後に何も決めない

話が深まっても、次回までの行動と支援が決まらなければ、同じ話題を繰り返します。「今週は何を一つ試しますか」「私が支援するなら、何が最も役に立ちますか」と最後に確認し、記録に残します。

営業1on1の基本アジェンダ|30分の進め方

面談の型があると、上司による進め方のばらつきを減らせます。下の時間配分は、毎週または隔週で30分を確保できる場合の基本形です。

時間 進めること 上司が意識すること
0〜5分 本人が話したいテーマと、前回決めた行動を確認する 評価や助言を急がず、本人の言葉を先に聞く
5〜15分 数字・案件・商談の事実を整理する 結果だけでなく、どの工程で止まったかを見る
15〜25分 本人の見立て、原因仮説、選択肢を話す 「なぜ」を続けず、「何が妨げになったか」を聞く
25〜30分 本人の次の行動と、上司の支援を一つずつ決める 行動、期限、確認する事実を記録に残す

面談の目的は、30分であらゆる問題を解決することではありません。本人が次に行う一歩を具体化し、その後の営業活動で検証できる状態にすることです。

営業1on1で使える質問例30選

1. 数字と進捗を整理する質問

数字を扱うときは、未達の理由をすぐに説明させるのではなく、本人がどこに変化を感じているかを聞きます。結果、プロセス、行動を分けると、対話が具体的になります。

質問 何を確認するか
今週の数字で、想定どおりだったものと違ったものは何ですか? 本人が認識している差分
目標に近づいたと感じる行動はありましたか? 成果につながる再現可能な行動
いちばん時間を使った活動は何ですか? 行動配分と優先順位
数字が変わり始めたのは、どの工程だと思いますか? ボトルネックの仮説
行動量を増やす以外に、今週変えられることは何ですか? 質的な改善の選択肢
今週の数字を見るうえで、まだ分からないことは何ですか? 情報不足や定義のずれ
来週、一つだけ確認する数字を選ぶなら何ですか? 検証の焦点
上司に数字の見方を手伝ってほしいところはありますか? 必要な支援

営業KPIの定義がチームでそろっていない場合は、先に「営業KPIの設計方法|売上から逆算する指標一覧・計算例・週次運用シート」を確認してください。数字の定義が異なる状態では、1on1での会話もずれやすくなります。

2. 案件を前に進める質問

案件の1on1では、顧客名と金額を読み上げるだけでは不十分です。顧客が今どの判断をしているか、次に誰が何を決めるかを明確にします。

質問 何を確認するか
今週、最も前に進んだ案件はどれですか?何が効きましたか? 成功したプロセスと行動
いちばん気になっている案件はどれですか? 優先して支援すべき案件
その案件で、次に誰が、いつ、何を決めますか? 次回アクションと判断プロセス
顧客の課題、決裁関係者、導入時期のうち、何がまだ曖昧ですか? 提案前の不足情報
提案しないと判断した案件では、何が足りませんでしたか? 失注・見送りからの学び
案件が止まった要因は、顧客側・自社側・情報不足のどれに近いですか? 支援の種類
今週、案件を一つ前に進めるために何を試しますか? 小さな実験
私が同席・確認・調整するなら、どこが最も役に立ちますか? 上司の支援範囲

案件のフェーズや次回アクションの定義が曖昧な場合は、営業プロセスを可視化したうえで面談を行うと、会話が具体的になります。

3. 商談スキルと学びを引き出す質問

商談の振り返りでは、上司が正解を教える前に、本人が何を見て、何を試したかを聞きます。本人の言葉で成功・失敗を整理できると、次回の商談で再現しやすくなります。

質問 何を確認するか
最近の商談で、手応えを感じた場面はどこでしたか? 本人が認識している強み
顧客が最も反応した質問・説明は何でしたか? 顧客価値の手がかり
話しづらかったこと、聞きにくかったことは何ですか? スキル上の壁
商談後に、確認しておけばよかったと思うことはありますか? 次に改善する質問
次回の商談で、同じように再現したい行動は何ですか? 成功パターンの言語化
ロールプレイや同席で確認したい場面はありますか? 育成方法の選択
自分の提案を一言で表すと、顧客にどんな価値がありますか? 提案の明確さ
次回までに一つだけ磨くなら、どの質問・説明・準備ですか? 行動を絞る

4. 意欲と支援を確認する質問

営業は成果が見えやすい職種であるため、数字が伸びないときに本人が孤立しやすくなります。意欲や状態の確認は、成果と切り離された雑談ではなく、本人が営業活動を続けられる環境を整えるために必要です。

質問 何を確認するか
最近の営業活動で、続けたいと思えることは何ですか? 本人の強み・意欲の源泉
逆に、消耗していると感じる場面はありますか? 負荷や支援の必要性
今の目標で、納得できていない前提はありますか? 目標設定のずれ
チームや上司との連携で、変えたいことはありますか? 組織上の障害
今週、助けがあれば前に進められることは何ですか? 具体的な支援要望
いま一番成長させたい営業スキルは何ですか? 本人の成長テーマ

数字の状態別:1on1での聞き方と支援

KPIに変化があったとき、上司が取るべき対応は一律ではありません。数字を見てすぐに行動量を増やすよう求めるのではなく、どの工程で何が起きているかを一緒に確認します。

状態 避けたい聞き方 使える聞き方 支援の例
商談化率が低い 「もっと電話したの?」 「反応があった対象と、なかった対象の違いは何ですか?」 ターゲット条件、初回メッセージ、接触リストを一緒に確認する
提案化率が低い 「提案が弱いのでは?」 「提案に進まない案件で、どの情報が不足していますか?」 商談の質問、決裁関係者・期限の確認項目を見直す
受注率が低い 「クロージングを頑張って」 「失注が分かった時点で、提案前に確認できていなかったことは何ですか?」 失注理由の分類、提案前の確認、案件レビューを行う
案件が滞留する 「フォローが遅いのでは?」 「次に誰が、いつ、何を決める案件ですか?」 次回アクション、顧客側の判断プロセスを整理する
行動量は十分で成果が低い 「もっと件数を増やして」 「量を増やす以外に、何を一つ変えますか?」 同席、ロールプレイ、ターゲット・提案内容の見直しを行う

1on1の記録シート

面談の記録は、細かな会話を全て残すためのものではありません。次回に続く行動と支援を忘れないためのものです。以下の項目を共有シートに残すと、面談が場当たり的になりにくくなります。

今回のテーマ 数字・案件の事実 本人の見立て 次回までに本人が試す行動 上司が行う支援 確認日
例:提案化率が低い 先週の初回商談8件のうち提案2件 決裁関係者と導入時期を聞けていない案件が多い 初回商談で確認項目を使う 商談議事録を1件レビューする 次回1on1

面談記録は、本人に見えない評価メモにしないことが大切です。本人と一緒に確認し、次回は前回の行動から話を始めます。これにより、1on1が単発の面談ではなく、成長の継続的な支援になります。

営業会議と1on1を分けて使う

営業会議と1on1は、どちらも営業改善に必要ですが、扱う課題が異なります。会議ではチーム全体のKPI、共通するボトルネック、成功・失敗の共有を扱います。1on1では、個人の案件、スキル、意欲、必要な支援を扱います。

会議で出たチーム課題を、そのまま個人の責任にしないことが重要です。たとえば商談化率がチーム全体で下がっているなら、営業会議でターゲットや訴求を検討し、1on1では各担当者が次に何を試すかを決めます。営業会議の設計は、「営業会議の進め方|60分で『数字の報告会』を改善の意思決定に変えるアジェンダ」も参考にしてください。

よくある質問

営業1on1は毎週実施すべきですか?

案件数、営業サイクル、メンバーの経験によって適切な頻度は変わります。新人や重点的に支援したいメンバーは週次、一定の自走ができているメンバーは隔週または月次という設計もできます。大切なのは、頻度よりも、前回の行動を振り返り次の支援につなげることです。

1on1で売上目標の話をしてもよいですか?

話して問題ありません。ただし、売上目標を評価や叱責の材料としてだけ扱わず、どのプロセスと行動を変えれば目標に近づくかを一緒に考える材料として使います。本人の意見や顧客との事実を先に聞くことが有効です。

上司が営業経験者でない場合、何を聞けばよいですか?

営業テクニックを教えることだけが1on1ではありません。数字・案件・顧客の事実を整理し、本人が次の行動を決められるように質問することはできます。自社の営業プロセス、KPIの定義、案件の次回アクションを共通言語にし、必要に応じて営業経験者や他部門の支援につなげてください。

まとめ|営業1on1は数字を「支援の優先順位」に変える場

営業1on1では、売上や案件を確認するだけで終わらせず、本人が困っている工程と、上司が支援できることをつなげます。数字、案件、スキル、意欲の4つを混ぜずに整理し、面談の最後には本人の行動と上司の支援を一つずつ決めてください。

この型が定着すると、1on1は詰問や雑談ではなく、営業担当者が自分で課題を捉え、チームの力を借りながら成長する時間になります。

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