リーダーの言語化スキル|曖昧な「いい感じに」が組織を殺す

リーダーの言語化スキル|曖昧な「いい感じに」が組織を殺す

「いい感じにやっておいて」
「うまくやって」
「もっとちゃんとして」

こうした言葉が飛び交う組織に、現場でよく出会います。
言っている本人は伝えたつもりになっている。
でもメンバーは「いい感じ」が何を意味するのかわからないまま、
なんとなく動くしかない。

この「なんとなく」が積み重なると、
マネージャーが意図した方向とは違う結果が出る。
「なんでこうなったんだ」とマネージャーは思う。
メンバーは「ちゃんとやったのに」と思う。

この認識のずれが、組織のあちこちで起きています。

リーダーの言語化スキルは、
組織のパフォーマンスに直結します。
本記事では、曖昧な言語化が組織に与える影響と、
言語化スキルを高める具体的な方法をお伝えします。


「いい感じに」が組織に与えるダメージ

メンバーが何をすればいいかわからない

「いい感じにやっておいて」と言われたメンバーは、
まず「いい感じ」の解釈から始めなければなりません。

マネージャーが思う「いい感じ」と、
メンバーが想像する「いい感じ」は、
多くの場合一致しません。

メンバーは自分なりに解釈して動きます。
でもそれがマネージャーの意図と違っていたとき、
「なんでこうなったんだ」という話になる。

この繰り返しが、メンバーの自信を奪っていきます。
「どうせまた違うと言われる」という感覚が積み重なると、
メンバーは動く前に確認を求めるようになります。
これが指示待ちの入口です。

フィードバックが抽象的すぎて、次に活かせない

「もっとちゃんとして」
「もう少し丁寧に」
「全体的にいまいちだった」

こうしたフィードバックを受けたメンバーは、
次に何を変えればいいかがわかりません。

「ちゃんとする」とは何を意味するのか。
「丁寧」とはどういう状態なのか。
「いまいち」のどの部分が問題だったのか。

具体性のないフィードバックは、
メンバーの行動を変えません。
同じことを繰り返させるだけです。

マネージャー自身が「いい状態」を言語化できていない

曖昧な指示やフィードバックが続く組織では、
多くの場合マネージャー自身が
「いい状態」を言語化できていません。

「なんとなくこれじゃない感じがする」
「もっとこう、こんな感じの方がいい」

感覚として持っているものを言葉にできないから、
メンバーに「いい感じに」と伝えるしかない。

これはマネージャーの能力の問題ではありません。
「言語化する」という習慣と訓練が
不足しているだけのことがほとんどです。


リーダーの言語化スキルを高める方法

① 「いい状態」を具体的な言葉で定義する

まず「いい感じ」「ちゃんとした状態」を、
具体的な言葉で定義することから始めます。

「この提案書がいい状態とは、
顧客の課題が3つ以内で明記されていて、
解決策との対応関係が一目でわかる状態」

「このヒアリングがうまくいった状態とは、
顧客が自分の課題を自分の言葉で話し始めた状態」

抽象的な感覚を、誰でも理解できる言葉に変える。
この作業自体が、リーダーの言語化スキルを鍛えます。

② 指示の前に「何を・なぜ・どのレベルで」を言語化する習慣を作る

指示を出す前に、3つを言葉にする習慣を作ります。

「何をやってほしいか」
「なぜそれをやるのか」
「どのレベルまでやってほしいか」

この3つが言語化されると、
メンバーは迷わず動けるようになります。

例えば「この提案書を直しておいて」ではなく、
「顧客の課題感との対応関係が見えにくいので、
第2章の構成を変えてほしい。
明日の商談前までに、全体が1ページで読める状態にしてほしい」
という形です。

③ フィードバックに「具体的な場面」と「次の行動」を入れる

「もっとちゃんとして」ではなく、

「あの商談の15分頃、顧客が課題を話し始めたときに
次の質問に移ってしまっていた。
もう少し深掘りする質問を一つ入れると、
顧客の本音が出やすくなる」

という形にする。

フィードバックには「具体的な場面」と
「次にどうするか」を必ずセットにすることで、
メンバーは次の商談で即実践できるようになります。


言語化スキルが上がったとき、現場に何が起きるか

リーダーの言語化スキルが上がったとき、
現場では4つの変化が同時に起きました。

マネージャーの指示が具体的になり、
メンバーが動きやすくなりました。
「何をすればいいかわからない」という状態がなくなると、
メンバーは迷わず行動できるようになります。
確認のための往復が減り、
お互いの時間が生まれます。

フィードバックの質が上がり、
メンバーの成長スピードが変わりました。
「次に何を変えればいいか」が明確になると、
メンバーは一つひとつの商談から
具体的な学びを得られるようになります。

マネージャーとメンバーの認識ずれが減り、
コミュニケーションが円滑になりました。
「なんでこうなったんだ」という場面が減ると、
チームの空気が変わります。
お互いが同じ方向を向いて動けるようになります。

そして組織全体の言葉の精度が上がり、
会議や報告の質が変わりました。
リーダーが言語化を意識すると、
メンバーも自然と言語化する習慣が育ちます。
報告が具体的になり、会議で的外れな議論が減っていきます。


よくある質問(FAQ)

Q. 言語化が苦手なマネージャーにどうアドバイスすればいいですか?

A. まず「いい状態を言葉にする」練習から始めることをお勧めします。
「あなたが思うこの仕事のゴールは何ですか?
それを一文で言うとしたら?」と問いかけることで、
マネージャー自身が言語化する習慣が育ちます。
いきなり完璧な言語化を求めるのではなく、
少しずつ具体性を上げていくことが大切です。

Q. 具体的な指示を出すと、メンバーが考えなくなりませんか?

A. 具体的な指示と、考える余地を残すことは両立します。
「何を・なぜ・どのレベルで」を伝えた上で、
「どうやるかはあなたが考えてください」という余地を残す。
ゴールを明確にしながら、プロセスをメンバーに委ねることで、
主体性と具体性を両立できます。

Q. 言語化スキルは、生まれつきの才能ですか?

A. 才能ではなく、習慣と訓練で身につくスキルです。
「いい状態を定義する」「指示の前に3つを言語化する」
「フィードバックに具体的な場面を入れる」——
この習慣を繰り返すことで、
言語化スキルは確実に上がっていきます。


まとめ

「いい感じに」「うまくやって」という曖昧な言葉は、
メンバーを迷わせ、成長を止め、
組織のパフォーマンスを下げます。
「いい状態」を具体的に定義し、
指示に「何を・なぜ・どのレベルで」を入れ、
フィードバックに「具体的な場面と次の行動」を加える。
この習慣が、リーダーの言語化スキルを上げ、
組織全体のコミュニケーションを変えていきます。


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