インサイドセールスとフィールドセールスの分業がうまくいく設計法

インサイドセールスとフィールドセールスの分業がうまくいく設計法

「インサイドセールスを導入したのに、なぜか成果が出ない」
こうした相談を受けるとき、現場を見ると原因はほぼ共通しています。
分業の形は作ったが、ISとFSの目的が組織全体で共有されていない。
ISがアポを量産するほど、FSが質の低い商談で苦労する。
指標がバラバラで、互いに相手のせいにする雰囲気が生まれている。
分業は、設計が正しければ営業組織を大きく変える仕組みです。
ただし、「分業すれば成果が出る」という思い込みで進めると、
問題が複雑になるだけです。
本記事では、IS・FS分業がうまくいかない現場の共通パターンと、
連携を機能させるための設計法を解説します。


IS・FS連携がうまくいかない現場の「3つのパターン」

支援先でIS・FSの分業が機能していない組織に入ると、
共通したパターンが見えてきます。

ISがアポを取れば取るほど、FSが商談で苦労する

ISがアポ数をKPIに追い続けると、
ニーズが薄い顧客や検討段階でない顧客へのアポが増えていきます。
FSは「この会社、なぜアポを取ったんだろう」という商談を繰り返し、
成約率が下がる。ISはアポを取っているのに評価されない。
両チームの間に不満が積み重なっていきます。

ISとFSが別々の指標で動いており、賃め合いが起きている

ISは「アポ獲得数」、FSは「成約率」という別々の指標で評価されると、
互いの仕事が見えにくくなります。
「ISが質の低いアポを持ってくる」「FSが商談をうまく進められない」
という賃め合いが始まり、チーム間の連携が壊れていきます。

分業制度を導入したが、引き継ぎ情報が伝わらず失注が増えた

ISがヒアリングした顧客情報がFSに正確に渡らない。
FSは初回商談でゼロから関係を作り直す羽目になる。
顧客は「前に話したことをまた聞かれた」と感じ、信頼を失います。
ツールを入れても運用ルールがなければ、情報は伝わりません。

「分業すれば成果が出る」という誤解

IS・FS分業が失敗する根本的な原因は、
「分業すればすぐに成果が出る」という期待値のズレにあります。

分業は組織の運営を複雑にする側面があります。
連携のルール、情報の引き継ぎ方、KPIの設計——
これらが整っていなければ、むしろ問題が増えます。

さらに深刻なのは、ISとFSの定義や目的が
組織全体で共有されていないケースです。
「ISは何のためにあるのか」「FSは何を成果とするのか」が
曖昧なまま分業が始まると、各チームが自己最適化し始め、
組織全体の成果から離れていきます。


IS・FS分業設計で最初にぶつかる「3つの壁」

現場でIS・FS分業の設計を進めるとき、
必ずといっていいほどぶつかる壁があります。

分業すればすぐ成果が出ると思っている

経営者やマネージャーが「分業を導入すれば半年で売上が上がる」と
期待していることが多いです。
実際には、分業が機能するまでには設計・育成・運用の定着に
時間がかかります。
この期待値のズレを最初にすり合わせておかないと、
「やっぱり効果がない」という判断が早まります。

ISとFSの定義や目的が組織全体で共有されていない

「ISはアポを取る部隊」「FSは商談する部隊」という
単純な理解のまま分業が始まると、
顧客にとって最適な体験が作れません。
ISがどの段階でFSに渡すのか、渡すときに何を共有するのか——
この定義を組織全体で合意することが、連携の土台になります。

分業後の各チームのKPIの設計が不整合だった

ISのKPIを「アポ数」だけにすると、質より量に走ります。
FSのKPIを「成約率」だけにすると、ISのアポ質を責め始めます。
両チームが「共通のゴール」に向かって動けるKPI設計が必要です。
例えばISのKPIに「アポ質スコア」や「FSのパイプライン貢献度」を
加えることで、チーム間の方向性が揃います。


IS・FS連携を機能させる設計の3つのポイント

では、どう設計すれば連携が機能するのでしょうか。
現場で実際に機能した3つのポイントを紹介します。

① ISとFSの目的と役割を言語化し、全員で共有する

まず、ISとFSそれぞれの役割と、
どの段階でバトンを渡すかの基準を言語化します。
「ニーズが明確になり、予算感が確認できた段階でFSに渡す」
という基準があるだけで、アポの質は変わります。
この定義を全員が理解した状態で分業をスタートすることが、
連携の出発点です。

② 共通のKPIと引き継ぎフォーマットを設計する

ISとFSが同じゴールに向かって動けるよう、
共通のKPIを設計します。
また、引き継ぎ時に何の情報を渡すかを
フォーマット化しておくことで、
FSが初回商談から顧客の課題に向き合えるようになります。
「顧客の課題」「検討背景」「意思決定者の情報」——
この3つを最低限共有するルールを作るだけで、
商談の質が大きく変わります。

③ ISとFSが定期的に対話する場を作る

分業が進むほど、チーム間の距離が広がります。
週次でISとFSが「今週のアポ質はどうだったか」
「どんな顧客が成約しやすいか」を対話する場を設けることで、
互いの仕事への理解が深まり、賃め合いが減っていきます。

実際に支援したマーケティングコンサルティング会社では、
IS・FS・CSの分業制度を設計・導入した結果、
月間新規売上が200万円から1,500万円へと拡大。
成約率も3.5%から18.2%へと改善しました。
分業が機能し始めたとき、アポの質が上がりFSの成約率が改善したこと、
ISとFSが同じ言語で案件を語れるようになったこと、
それぞれが得意な役割に集中できてモチベーションが上がったこと、
そして経営者が現場から離れられる時間が増えたこと——
この4つの変化が同時に起きました。


よくある質問(FAQ)

Q. ISとFSを分けるタイミングはいつが適切ですか?

A. 明確な基準はありませんが、
「全員が全プロセスを兼任していて、どこで失注しているかわからない」
「アポは取れるが成約率が低い」という状態が続いているなら、
分業を検討するサインです。
ただし、分業はメンバーが5名以上いる組織で機能しやすく、
少人数では役割の固定が逆効果になることもあります。
まずは現状のプロセスを見える化してから判断することをお勧めします。

Q. ISを内製化すべきか、外注すべきか、判断基準を教えてください。

A. 短期的なアポ数が必要なら外注も選択肢です。
ただし、顧客情報の蓄積・引き継ぎの質・FSとの連携という観点では、
内製化の方が長期的に組織力が高まります。
外注する場合も、引き継ぎフォーマットとKPIの設計は
自社で行うことが、連携の質を守る上で重要です。

Q. ISとFSの賃め合いが起きています。どう解消すればいいですか?

A. 賃め合いが起きているとき、原因はたいていKPIの不整合です。
互いが「相手のせい」と感じるのは、
共通のゴールが設計されていないからです。
まず両チームのKPIを見直し、
「一緒に達成するゴール」を設定することが先決です。
その上で週次の対話の場を作ると、
互いへの理解が深まり、賃め合いは自然と減っていきます。


まとめ

IS・FS分業は、設計が正しければ営業組織を大きく変える仕組みです。
ただし「分業すれば成果が出る」という思い込みで進めると、
賃め合い・情報断絶・KPIの不整合という新しい問題が生まれます。
目的と役割を言語化し、共通のKPIを設計し、
定期的な対話の場を作ること。
この3つが揃ったとき、ISとFSは初めて「チーム」として機能します。


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