あなたの会社の営業会議、何点?生産性を下げる「やってはいけない」会議のチェックリスト

毎週月曜日の朝、オフィスの会議室やオンラインの画面越しに漂う重苦しい空気。 多くの企業で繰り返されている「営業会議」の風景です。

経営者や営業責任者である皆様にお伺いします。 貴社の営業会議は、売上を作るための「作戦タイム」になっているでしょうか。それとも、単なる「数字の確認会」や、未達の理由を問い詰める「尋問の場」になってしまっているでしょうか。

営業の生産性を高め、組織として成果を出し続けるためには、日々の活動プロセスと、それを振り返る場である会議の質を変えることが非常に重要です。

今回は、多くの企業が陥りがちな「生産性を下げる営業会議」の特徴をチェックリスト形式で挙げながら、組織としてどう改善していくべきか、その具体的な視点をお伝えします。

生産性を下げる営業会議の「ダメな点」チェックリスト

まずは、貴社の定例会議が以下の項目に当てはまっていないか、少し厳しい目で振り返ってみてください。

【チェックリスト】

  1. 数字の「読み上げ」に時間を費やしている
  2. 「なぜ売れないのか」という理由ばかり追求している
  3. 個人の課題とチームの課題が混在している
  4. トップセールスの「勘」が正解とされている
  5. 会議が終わった後、メンバーの行動が変わっていない

いかがでしたでしょうか。 もし一つでも当てはまるなら、その会議は組織の成長を阻害している可能性があります。それぞれの問題点について、なぜそれがNGなのか、そしてどう変えるべきかを掘り下げていきます。

1. 「結果の確認」と「未来の対策」を混同しない

最も多いのが、全員が集まって一人ずつ今月の売上見込みや実績を読み上げるパターンです。 SFA(営業支援システム)やExcelを見れば分かる数字を、わざわざ口頭で発表させることに意味はありません。それは「情報の共有」であって「会議」ではないからです。

「結果(過去)」は変えられませんが、「行動(未来)」は変えられます。

生産性の高い会議では、数字の報告は事前に済ませておきます。会議の時間を使うべきなのは、「目標と現状のギャップ」に対する「具体的なアクション」の議論です。

「A社への提案が失注した」という報告だけで終わらせず、「どのプロセスに問題があったのか」「次に同様の案件が来たとき、どの資料を使えば勝率が上がるか」という議論に時間を割くべきです。これにより、個人の失敗体験が組織全体のノウハウへと昇華されます。

2. 「なぜ(Why)」ではなく「どうやって(How)」を問う

目標未達のメンバーに対して「なぜ今月はダメだったんだ?」と問い詰めるシーンもよく見られます。 しかし、厳しい詰問に対して返ってくるのは、「景気が悪いから」「競合が安売りをしたから」といった言い訳か、あるいは「来月は頑張ります」という根拠のない精神論だけです。これでは解決になりません。

必要なのは、原因を個人の能力ややる気のせいにせず、プロセスや仕組みの問題として捉えることです。

「アポイントの数は足りていたか?」「商談のどのフェーズで止まっていることが多いか?」「クロージングのトークは適切だったか?」 このように、プロセスを分解して事実を確認することで、初めて「次はここを直そう」という具体的な改善策が見えてきます。精神論ではなく、論理的な行動指針を示すことが、リーダーの役割です。

3. 「全体会議」と「1on1」を明確に使い分ける

営業会議に参加しているメンバー全員の時間を拘束していることのコスト意識も忘れてはいけません。 特定のメンバーの個別の悩みや、細かい案件の相談を全体会議で延々とやってしまうと、他のメンバーにとっては「自分に関係のない待ち時間」となり、集中力とモチベーションを削ぐ原因になります。

ここで強く推奨したいのが、「全体会議」と「1on1(個人面談)」の役割分担です。

  • 全体会議: チーム全体の戦略共有、成功事例の横展開、共通課題の解決策議論など、「全員で話す価値があること」に絞る。
  • 1on1 個人のモチベーション管理、キャリア形成、個別の案件相談、スキルアップのためのフィードバックなど、「個人の成長と悩み」に寄り添う。

特に、若手や伸び悩んでいる社員の育成には、1on1が極めて有効です。 大勢の前では言えない本音や、自分でも気づいていない弱点を、マネージャーとの対話の中で見つけ出すことができるからです。 「最近、仕事を楽しめているか?」「どの業務に負担を感じているか?」といった対話を通じて、メンバー一人ひとりのコンディションを把握し、個性を活かす育成を行うこと。これが、離職を防ぎ、長く活躍できる人材を育てる土台となります。

4. 「トップセールスの感覚」を組織の標準にしない

「俺の若い頃はこうやった」「気合で飛び込めばなんとかなる」 実績のあるトップセールス出身のマネージャーほど、自分の成功体験を部下に押し付けがちです。しかし、属人的な感覚や特殊なキャラクターに依存したやり方は、他のメンバーには再現できません。

組織として成果を出し続けるためには、**「誰がやってもある程度の結果が出る仕組み」**が必要です。

そのためには、トップセールスが「無意識」にやっている行動を言語化し、分解することが大切です。 「どのタイミングで連絡を入れているのか」「どんな質問でお客様の課題を引き出しているのか」。こうした定性的な情報をデータとして蓄積し、標準的なプロセスとしてチーム全体にインストールする。これこそが、組織力を底上げするための近道です。

5. 会議のゴールは「次の行動」が決まること

最後に、最も重要な点をお伝えします。 良い会議とは、終わった瞬間に「次に誰が、いつまでに、何をするか」が明確になっている会議です。

「今月も頑張ろう」という掛け声だけで解散していませんか? それでは、メンバーは席に戻った瞬間、これまでと同じ行動を繰り返すだけです。

「B君は、来週までにヒアリングシートの項目を見直してくる」 「Cさんは、過去の失注案件リストから10社に再アプローチする」 「マネージャーは、D君の商談に同席してフィードバックを行う」

このように、具体的で小さなアクション(Baby Step)まで落とし込むこと。そして次回の会議でその実行結果を検証し、また次の改善につなげること。 この小さなPDCAサイクルを高速で回すことだけが、組織を確実に前進させます。

組織を変えるために、まずは「会議」の点検から

営業組織の課題は、「人の問題」と「仕組みの問題」が複雑に絡み合っています。 「良い人材がいない」「育たない」と嘆く前に、まずは彼らが活動する土台である「会議」や「マネジメントのあり方」を見直してみてください。

  • 数字の確認だけの会議をやめる
  • 精神論ではなく、プロセスをデータで見る
  • 1on1を取り入れ、個人の成長に寄り添う
  • 属人化を排し、成功パターンを共有する

これらを意識するだけで、チームの空気は変わり始めます。 営業とは本来、お客様に価値を提供し、その対価として感謝される、非常にクリエイティブで楽しい仕事であるはずです。 メンバー一人ひとりが自分の仕事に誇りを持ち、個性を活かしながら、組織として最大のパフォーマンスを発揮する。そんな「自走する営業組織」を作るためのスタート地点として、来週の会議のアジェンダを見直してみてはいかがでしょうか。

もし、自社だけで客観的な分析や仕組みの構築が難しいと感じる場合は、外部の視点を取り入れることも有効な選択肢の一つです。 現状のプロセスにどのようなボトルネックがあるのか、データに基づいた診断を行うことから始めてみるのも良いでしょう。

貴社の営業会議のアジェンダと、実際の進め方を一度書き出してみてください。上記のチェックリストと照らし合わせ、削減できる時間や、新たに追加すべき議論のテーマがないかを確認してみましょう。