「頑張っているのに、なかなか受注につながらない…」 「個人のスキルに頼る営業から脱却したい…」
経営者の皆様は、このような課題に直面されていませんでしょうか。
御社の営業組織は、受注率が30%を超えていますか? もし、この数字に届いていないのであれば、それは個々の営業担当者の努力不足ではなく、商談の進め方に根本的な問題があるのかもしれません。
場当たり的な商談を繰り返していませんか? 「商談の型」と聞くと、「トップセールスのやり方を真似させること」や「マニュアル通りの画一的な営業」をイメージされるかもしれません。しかし、私たちが提案する「型」はそれらとは全く異なります。
個々の営業担当者の個性を最大限に活かし、顧客一人ひとりに寄り添いながら、確実に成果を出すための「勝ちパターン」を組織全体で共有・実践すること。それが、「勝てる商談の型化」です。
本コラムでは、受注率30%以上を実現するための具体的な3つのポイントについて、詳しく解説します。
1. 顧客視点を徹底する「ヒアリングの型」
多くの営業担当者は、自社の商品やサービスの魅力を伝えることに注力しがちです。 しかし、これでは顧客の心には響きません。なぜなら、顧客は商品そのものに興味があるのではなく、「その商品によって、自分の課題がどう解決されるか」に最も関心があるからです。
「勝てる商談」の第一歩は、この顧客の**「本当の課題」**を引き出すことにあります。
営業担当者の自己満足なヒアリングになっていませんか?
「御社の事業内容を教えてください」 「現在の課題は何ですか?」
このように、一方的な質問リストをなぞるだけのヒアリングでは、顧客は表面的な回答しかしてくれません。
例えば、「営業の人材育成に困っています」という顧客に対し、「どのような研修を望まれますか?」と聞いても、具体的な話には進みません。なぜなら、顧客自身も「どうすればいいか」の答えを持っていない場合が多いからです。
顧客の潜在的な課題を引き出す「問いの型」
効果的なヒアリングのためには、**「深掘りの問い」**を用意しておくことが重要です。
例えば、「営業の人材育成に困っています」という顧客に対して、以下のように質問を展開していくのです。
- 現状の確認: 「具体的に、どのような場面で営業の課題を感じられますか?」
- 例:「提案の質が低く、受注率が伸び悩んでいます」
- 原因の特定: 「その原因は何だとお考えですか?」
- 例:「商談の進め方が属人化していて、再現性がありません」
- 理想像の明確化: 「もしその課題が解決できたら、どのような状態になりますか?」
- 例:「商談の勝ちパターンが共有され、誰でも一定の成果を出せるようになります」
- 感情の確認: 「その状態になったら、どのような気持ちになりそうですか?」
- 例:「組織全体が活気づき、離職率も下がりそうです」
このように、一つひとつの答えに対し、**「なぜ?」「具体的には?」「もし…ならどうなりますか?」**と、多角的に問いを投げかけることで、顧客自身も気づいていなかった本質的な課題や、その解決に対する強い願望を引き出すことができます。
この「問いの型」を組織全体で共有し、個々の営業担当者が日々の商談で実践することで、ヒアリングの質は飛躍的に向上します。
2. 顧客の心を掴む「提案の型」
ヒアリングで引き出した顧客の「本当の課題」に対し、的確な提案をすることが次のステップです。 多くの営業担当者は、ヒアリングした内容をそのまま受け止め、自社の商品説明を始めがちです。しかし、それでは「商品を買う」という決断にはつながりません。
営業担当者の自己中心的な提案になっていませんか?
「御社の課題を解決できる弊社のサービスは、〇〇という特徴があります」 「このサービスを導入すれば、御社の受注率を上げることができます」
このような、サービスの特徴や効果を一方的に説明するだけの提案では、顧客の心は動きません。 なぜなら、顧客は「なぜこのサービスが、自分の課題解決に役立つのか」という具体的なイメージを持てないからです。
顧客の共感を呼ぶ「ストーリー型の提案」
効果的な提案のためには、顧客が**「自分の未来」を想像できるような「ストーリー」**を語ることが重要です。
例えば、先ほどの「営業の人材育成に困っている」顧客への提案は、このように組み立てていきます。
- 課題の再確認: 「ヒアリングの結果、御社が最も解決したい課題は『商談の進め方が属人化しており、再現性がないこと』だと理解いたしました。これにより、営業担当者のモチベーション低下や、組織全体の成長が停滞している状況だと感じていらっしゃいますね?」
- ポイント: まずは、ヒアリングで引き出した課題を顧客の言葉で再確認し、**「あなたのことを深く理解しています」**というメッセージを伝えます。
- 課題解決のストーリー: 「もし、御社の営業担当者一人ひとりが、自分の個性を活かしながら『勝てる商談の型』を身につけることができれば、どうなるでしょうか。最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、日々の小さな成功体験を積み重ねることで、彼らは自信とやりがいを感じるようになります。そして、その成功事例が組織全体に広がることで、チーム全体のパフォーマンスが向上し、結果として御社の受注率も安定的に高まっていくでしょう。」
- ポイント: 解決策そのものを説明するのではなく、「解決された未来」を具体的に描き、顧客に**「ワクワク感」**を与えます。
- 解決策の提示: 「その未来を実現するために、私たちは〇〇という形で御社をご支援いたします。」
- ポイント: ここで初めて、具体的なサービスの内容に触れます。このときも、単なる機能説明ではなく、「この機能は、先ほどのストーリーのどの部分に貢献するのか」を明確に示します。
この「ストーリー型の提案」を実践することで、顧客は単なる商品購入ではなく、「未来への投資」として自社のサービスを捉えるようになります。
3. 継続的な成長を促す「振り返りの型」
商談を終えたら、それで終わりではありません。 「勝てる商談」を組織の財産にするためには、**「振り返り」**を習慣化することが不可欠です。 しかし、多くの企業では、この振り返りが「結果報告」で終わってしまっています。
営業担当者の成長を止める「結果報告」
「受注できました!」 「今回は残念ながら受注できませんでした…」
このような結果報告だけでは、**「なぜ受注できたのか」「なぜ受注できなかったのか」**という最も重要な部分が抜け落ちてしまいます。
- 受注できた商談: なぜうまくいったのかが明確でないと、その成功は再現できません。
- 失注した商談: なぜうまくいかなかったのかが不明だと、同じ失敗を繰り返してしまいます。
成長を加速させる「振り返りの型」
効果的な振り返りには、**「自己評価」と「他者からのフィードバック」**を組み合わせることが重要です。
このプロセスを、1on1やチームミーティングで日々実践していくのです。
- 商談の自己評価: 営業担当者自身が、商談の良かった点、改善点を客観的に分析します。
- 例:「ヒアリングで〇〇という質問をしたところ、顧客の潜在的な課題を引き出すことができました」
- 例:「提案の際、顧客の反応が薄かったので、〇〇の部分をうまく伝えられなかったと感じます」
- フィードバックの共有: マネージャーやチームメンバーが、客観的な視点からフィードバックを提供します。
- 例:「ヒアリングの際、もう少し〇〇という問いかけをしてみると、さらに深い話が聞けたかもしれませんね」
- 例:「提案の〇〇の部分は、顧客が最も気にしているポイントだったので、もう少し時間をかけて説明してあげると良かったかもしれません」
- 次のアクション設定: 次の商談で実践する具体的な改善点を明確にします。
- 例:「次回の商談では、必ず〇〇という質問を盛り込むようにします」
この「振り返りの型」を組織の文化として根付かせることで、営業担当者は自律的に学び、成長することができます。 さらに、個々の成功事例や失敗事例が組織全体に共有されることで、組織全体の営業力は持続的に向上していきます。
最後に
「勝てる商談の型化」は、単なる営業ノウハウの導入ではありません。 それは、営業担当者一人ひとりの個性を尊重し、彼らが自ら考え、行動し、成長できるような「仕組み」を創り出すことです。
そして、その「仕組み」を支えるのが、今回ご紹介した**「ヒアリング」「提案」「振り返り」**という3つの型です。 これらの型を組織全体で共有し、実践することで、御社の営業組織は「個人の頑張り」に頼らない、再現性の高い、持続可能な成長を実現できるでしょう。
御社の営業組織が、働く全員がベストパフォーマンスを発揮し、顧客に貢献できる組織となる第一歩を、私たちと共に踏み出しませんか。 具体的なご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。