はじめに
「為せば成る、為さねば成らぬ、何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」
この名言で知られる上杉鷹山は、故ジョン・F・ケネディ大統領にも尊敬する政治家としてその名前をあげられた、江戸時代に米沢藩の藩政改革を成功させた名君です。
この言葉は「どんなことでも、やる気になって努力すれば必ず実現できる。無理だと思って諦めてしまって努力を怠れば実現できない。全ては人の努力次第である。」という意味で、「人」を重視し、「人」の持つ可能性を信じ、努力すること、本気で取り組むことの重要性を言っています。
また、育成の極意として本コラムでも取り上げている山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」という言葉は、上杉鷹山が残した「してみせて 言って聞かせて させてみる」から影響を受けたと言われています。
今回は、現代社会においても、リーダーにとって重要な示唆を与えてくれる彼の言葉と行動を紐解き、現代のリーダーが学ぶべきことについて考察します。
上杉鷹山の生涯と米沢藩改革
上杉鷹山は、日向高鍋藩主秋月種美の次男として生まれ、幼い頃に米沢藩主の養子となりました。当時、米沢藩は莫大な借金を抱え、財政難に陥っていました。
家督を継いだ鷹山は、藩の立て直しのため、徹底的な倹約政策と産業振興策を実施しました。自ら質素な生活を送り、家臣にも倹約を徹底しました。また、織物や酒造などの産業を奨励し、藩の財政を立て直しました。
鷹山は人材育成にも力を入れていました。藩校「興譲館」を設立し、身分を問わず教育を受けられるようにしました。また、家臣の中から能力のある者を登用し、藩政改革を推進しました。
こうした改革により、米沢藩は財政難を克服し、豊かな藩へと生まれ変わりました。鷹山は「為せば成る」の精神で、困難な状況を乗り越え、藩を繁栄へと導いたのです。
現代のリーダーが学ぶべきこと
上杉鷹山のリーダーシップから、現代のリーダーが学ぶべきことはたくさんあります。
- 本気で取り組み努力を怠らないこと
鷹山は、藩政改革という困難な課題に立ち向かう際、強い意志と不屈の精神で取り組みました。どんな困難にもくじけず、最後まで努力を続けたことが、改革成功の要因の一つとなりました。
現代のリーダーも、目標達成のためには強い意志と不屈の精神が必要です。どんな困難にもくじけず、最後まで努力を続けることが重要です。
- 困難に立ち向かう強い意志を持つこと
米沢藩は、家臣の反対や財政難など、多くの困難に直面していました。しかし、鷹山は困難に立ち向かう強い意志を持ち、改革を断行しました。
現代のリーダーも、変化の激しい現代社会において、様々な困難に直面することになります。困難に立ち向かう強い意志を持ち、リーダーとして決断することが重要です。
- 部下を本気でやる気にさせるために率先垂範で行動すること
鷹山は、自ら質素な生活を送り、家臣にも倹約を徹底しました。また、率先垂範で改革に取り組むことで、家臣たちの信頼を得ました。
現代のリーダーも、部下をやる気にさせるためには、率先垂範で行動することが重要です。自ら率先して努力することで、部下たちの模範となり、組織全体の士気を高めることができます。
- 人の持つ可能性を信じ人材育成を行うこと
鷹山は、人材育成こそが藩の将来を担うものであると考え、藩校「興譲館」を設立しました。身分を問わず教育を受けられるようにすることで、多くの優秀な人材を輩出しました。
現代の企業においても、人材育成は重要な経営課題です。社員一人ひとりの可能性を信じ、能力を最大限に引き出すことができるような人材育成を行うことが重要です。
- 部下を信頼し、能力を最大限に引き出すこと
鷹山は、家臣の中から能力のある者を登用し、藩政改革を推進しました。部下を信頼し、能力を最大限に引き出すことで、組織全体の活性化を図りました。
現代のリーダーも、部下を信頼し、能力を最大限に引き出すことが重要です。部下の意見に耳を傾け、責任と権限を与えることで、部下の成長を促し、組織全体の活性化を図ることができます。
おわりに
上杉鷹山は、困難な状況を乗り越え、米沢藩を繁栄へと導いた名君です。そのリーダーシップから、現代のリーダーが学ぶべきことはたくさんあります。
現代社会は、変化の激しい時代です。リーダーは、強い意志と不屈の精神を持ち、困難に立ち向かうことが求められます。また、部下を本気でやる気にさせるために率先垂範で行動し、人の可能性を信じ人材育成を行うことも重要です。