誰もマネージャーになりたがらない組織の正体|プレイング問題の解決法

誰もマネージャーになりたがらない組織の正体|プレイング問題の解決法

「うちの組織、誰もマネージャーになりたがらないんですよ」
こう打ち明ける経営者に、現場でよく出会います。
なぜそうなるのか。答えはシンプルです。
マネージャーになると、自分の案件も抱えたまま
部下の指導責任まで負わされ、ただ忙しくなるだけだからです。
会社はマネージャーという役職を与えている。
でも、マネジメントの時間を確保させることも、
マネジメントの方法を教えることもしていない。
その結果、マネージャーは「数字が大きくなったプレイヤー」に過ぎなくなります。
本記事では、プレイングマネージャー問題の根本原因と、
組織として取り組むべき脱却の進め方を解説します。


現場で見たプレイングマネージャーの「4つの実態」

支援先の現場に入ると、プレイングマネージャーの問題は
一つのパターンではなく、複数が同時に起きていることがほとんどです。

一つ目は、自分の案件を抱えながら部下の指導もしていて、
どちらも中途半端になっている状態です。
マネージャー本人は一生懸命です。でも時間も集中力も分散しているため、
案件も指導も「やりきれていない」感覚が積み重なっていきます。

二つ目は、マネージャーが一番売れるため、
誰も意見を言えない雰囲気になっている状態です。
「あの人が言うなら正しい」という空気が漂い、
部下は考えることをやめ、指示を待つだけになっていきます。

三つ目は、マネージャーが忙しすぎて部下の異変に気づけず、
離職につながっているケースです。
部下がサインを出していても、マネージャーには見える余裕がない。
気づいたときにはすでに手遅れになっていることがあります。

そして四つ目が、最も根本的な問題です。
会社がマネージャーという役割を与えているにもかかわらず、
マネジメントの時間を確保させることも、
マネジメントの方法を教えることもしていない。
結果として、マネージャーはただ責任と数字が大きくなった
プレイヤーになっています。

「当たり前」になった状態が一番厄介

こうした状況を変えようとしたとき、最初にぶつかる壁があります。
マネージャーも会社も、それが当然だと思っていることです。

「マネージャーはそういうものだ」「忙しいのは仕方ない」
という空気が組織全体に染みついているため、
問題として認識されていないのです。

そしてその結果、誰もマネージャーになりたがらなくなる。
責任は増える、忙しくなる、評価は変わらない——
そう感じれば、優秀なメンバーほど昇進を避けるようになります。
これは組織にとって、じわじわと効いてくる深刻なリスクです。


プレイングマネージャー問題の根本は「役割設計の不在」にある

多くの場合、この問題はマネージャー個人の能力や意欲の問題ではありません。
会社としてマネージャーの役割を設計していないことが原因です。

マネジメントに使うべき時間はどれくらいか。
部下の指導にどう関わるべきか。
自分の案件をどこまで持っていいのか。

これらが明確でなければ、マネージャーは
「できる人がより多くやる」という方向にしか動けません。
プレイヤーとして優秀だった人が、マネージャーになった途端に
何をすればいいかわからなくなる——これは珍しくない話です。

マネージャーに必要なのは「役割の再定義」と「時間の確保」

プレイングマネージャーから脱却するために、
まず取り組むべきことは二つです。

一つは、マネージャーの役割を経営者と合意し直すことです。
「チームの目標達成率」「メンバーの育成状況」を
マネージャーの評価指標に据える。
自分の受注数ではなく、チームの成果で評価される構造にすることで、
行動の優先順位が自然と変わっていきます。

もう一つは、マネジメントに使う時間を構造的に確保することです。
週の時間の使い方を可視化し、育成・面談・戦略思考のための時間を
先にブロックする。空いた時間で案件対応するのではなく、
管理職としての仕事を優先できる仕組みを作ります。


脱却したとき、組織に何が起きるか

プレイングマネージャーの状態から抜け出したとき、
現場では複数の変化が同時に起きます。

マネージャーが初めて「管理職らしい仕事」ができるようになる。
チーム全体の数字がマネージャー一人の数字を超えていく。
部下が自分で考えて動くようになる。
そしてマネージャー自身が「楽になった」と言い始める。

この「楽になった」という言葉が、実は一番大きな変化だと感じています。
それまでいかに無理な状態で動いていたかの裏返しでもあるからです。

実際に3年連続で部門目標未達だった製造業の営業組織では、
マネージャーが個人目標を抱えながら管理職を兼任していました。
役割を再設計し、育成に集中できる環境を整えた結果、
約18ヶ月後に部門目標達成率114%を実現。
月次目標を達成するメンバーは2名から7名へと増えました。
マネージャーが「育てる人」に変わったことが、
この数字の変化を支えていました。


よくある質問(FAQ)

Q. マネージャーをプレイヤーから外すと、売上が下がるのが怖いです。どう考えればいいですか?

A. 移行期に一時的に数字が落ちることはあります。
ただ、マネージャーがプレイヤーを兼任し続ける限り、
チームはいつまでもマネージャー一人の数字に依存し続けます。
短期的な数字の安定と、中長期的な組織の成長のどちらを優先するかという判断です。
多くの場合、早めに切り替えた組織の方が、結果として早く数字が回復します。

Q. マネージャー自身が「自分でやった方が早い」という意識を変えられません。

A. この意識は、優秀なプレイヤーであればあるほど強く出ます。
変えるには、「部下が育つことの方が長期的に自分の評価につながる」という
体験を積み重ねることが一番効きます。
小さな成功体験——部下が自分で商談を取った瞬間など——を
一緒に喜べる場面を意図的に作ることが、意識変容の入口になります。

Q. 中小企業ではマネージャーにプレイヤーを完全に外させるのは難しいです。現実的な進め方はありますか?

A. 完全に外すことが難しい場合でも、
「マネジメントに使う時間の比率を週単位で増やす」という進め方はできます。
今週マネジメントに使えた時間を毎週記録し、少しずつ比率を上げていく。
一気に変えようとせず、比率を変えることを目標にするだけでも
マネージャーの意識と行動は変わっていきます。


まとめ

誰もマネージャーになりたがらない組織は、
マネージャーという役割を与えるだけで、
その中身を設計していないことがほとんどです。
マネジメントの時間を確保し、役割を再定義し、
評価の軸をチームの成果に切り替える。
この3つが揃ったとき、マネージャーは「売る人」から「育てる人」へと変わり、
チーム全体の数字が動き始めます。


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