歴史に学ぶ① リーダーがいなくなった時にわかる組織力 空中分解した織田家臣団と260年続いた徳川家臣団 マネすべきはどちらの組織作り

戦国時代、天下統一を目前にしながら家臣の離反によって夢半ばで散った織田信長と、長い年月をかけて盤石な組織を築き上げ、天下を掌握した徳川家康。二人の家臣団の組織運営には、どのような違いがあったのでしょうか。歴史に学ぶことで、現代の企業経営にも役立つ教訓を見出すことができます。

 

絶対的なカリスマ性とリーダーシップを持った信長と戦略的我慢の達人家康が作った組織の比較

 

信長と高い個々の能力の信長型組織

織田信長は、それまでの価値観に固執せず、楽市楽座や兵農分離など様々な革新的な政策を進め、卓越した戦術眼、先見性、類を見ない金銭感覚などで、新しいものをどんどん取り入れ、時代を切り開きました。

人材活用においても、身分にとらわれず、農民出身の秀吉や、他家にいた明智光秀など、能力があれば誰でも重用しました。

しかし、家臣団は全て自分の決定した事を実現させる機能であり、家臣団だけで物事を進めるという組織は構築しませんでした。

意思決定を全て信長が行い、家臣たちは、誰であっても信長に意見することはできませんでした。

組織は完全な縦割りで、組織力ではなく家臣個々の能力に依存し、部門間の連携は希薄で競争意識が強く、家臣一人一人の独立心が強く、織田家のためという組織への意識は弱く、信長のため、自分のために身を粉にして働きました。

結果、信長と言う絶対的なリーダーがいなくなった途端に、扇の要を失い、家臣同士が争い、織田家という組織は空中分解しました。

 

家康と高い結束力を誇った家康型組織

一方で家康は、特筆すべきカリスマ性やリーダーシップはありませんでした。彼が持っていた能力は、忍耐強さと学習することでした。

革新的なことはほとんど何もしませんでしたが、家臣を育て、家臣が育つのを忍耐強く待ち、他の家臣を抑え、家をまとめることに注力し続けました。時には家臣の団結のために我が子をも犠牲にし、組織のために心血を注ぎました。そのため、家臣たちは「徳川家のために」という帰属意識と献身的な考えを持つようになり、協調性、高い結束力が育ちました。

そして、武田信玄、織田信長、豊臣秀吉といった優秀な先人たちの成功と失敗を見極め、自身の失敗も身に刻み、改善を繰り返していきました。

最終意思決定は家康が行いますが、上から下まで激しく意見を言い合い、家臣同士で喧嘩になることも多くありました。

部門間の連携も密接で、部門や個々の利益を優先するのではなく、最終的に組織のため、「徳川家のために」なるように、臨機応変に家臣たちが自身で考えて、家臣たちで協力し行動しました。

その結果、260年を超える間存続した、徳川幕府と言う組織、仕組の基礎を作り上げました。

 

信長組織の特徴と課題

信長と家臣それぞれの強い繋がりで維持されている

人材の抜擢

特に優秀な人は能力を発揮しやすい

結果が出るまでの時間が短い

万能型人材が求められる

組織の統制が難しい

人材の流出率が高い

長期的な安定性に欠ける

創業期などスピードと独創性が求められる企業に有効

 

家康型組織の特徴と課題

徳川家という組織としての高い結束力

人材の成長

何か一芸に秀でた人は全て活躍の場所がある

結果が出るまで時間がかかる

どんな人でも活用できる

帰属意識が強いため高い統制

人材は流出しにくい

長期的で安定的な成長

長期的に安定した成長が求められる全ての企業に有効

 

このように比較してみると、現代においては、強烈なカリスマ性を放つキラキラしたリーダーよりも、地味だが一人一人を成長させ組織を成長させ組織力を高めるリーダーが求められているように感じます。

 

現代企業における組織力強化のポイント

リーダーは独裁者ではなく、組織全体の成長を促進する存在である

従業員の個々の能力に依存せず、個々の特性を活かしながらチームワークを育てる

組織全体で共通の目標を共有し、帰属意識を高める仕組み作り

部門間の連携を密にし、情報共有を促進する

多様な意見を取り入れ、活発な議論を促す

自ら考え行動できる人材の育成

リーダー不在時でも変化に対応できる柔軟な組織、仕組を作る

歴史から学ぶことで組織経営に必要なことを知ることが出来ます。

今回は、信長、家康に学ぶ組織力強化の重要性でした。

 

現代企業において、組織力と人材育成は不可欠であり、組織力を高め人材を育成することで、企業は安定的に成長し続けることができるでしょう。

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