論語に学ぶ①|「これを知る者はこれを好む者に如かず」が教える育成の本質
「これを知る者はこれを好む者に如かず、
これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」
約2500年前、孔子が残した言葉です。
意味はこうです。
何かを「知っている人」は「好きな人」には及ばない。
「好きな人」は「楽しんでいる人」には及ばない。
この言葉を初めて聞いたとき、
営業育成の現場で見てきたことと
完全に重なりました。
「知っている」だけのメンバーと、
「好き」なメンバーと、
「楽しんでいる」メンバーでは、
成長のスピードも、出せる成果も、
全く違います。
本記事では、孔子のこの言葉を手がかりに、
育成の本質についてお伝えします。
「知る」「好む」「楽しむ」の3段階
第1段階:「知る」——義務感でやっている状態
「知る」段階のメンバーは、
やり方を教わって、頭では理解しています。
でも「やらなければいけないからやっている」
という感覚で動いています。
指示されたからやる。
言われた通りにこなす。
それ以上はやらない。
この状態では、
成長のスピードは遅いです。
義務感で続けることには限界があるからです。
現場でよく見るのは、
「教えたのに使えない」というメンバーです。
知識として「知っている」けれど、
体が動かない。
それは「知る」段階に留まっているからです。
第2段階:「好む」——興味を持って動いている状態
「好む」段階になると、
メンバーの動き方が変わります。
「もっとうまくなりたい」
「この部分をもっと深く知りたい」
「次の商談で試してみよう」
自分から動くようになります。
指示を待つのではなく、
「次はこれをやってみよう」と
自分で考えて動き始めます。
この段階になると、
成長のスピードが明らかに変わります。
好きだから続けられる。
続けるから深くなる。
深くなるから得意になる。
この好循環が生まれます。
第3段階:「楽しむ」——誰にも止められない状態
「楽しむ」段階は、
もはや誰かに指示される必要がありません。
「顧客と話すのが楽しい」
「課題を解決できたときの達成感がたまらない」
「もっとうまくなりたくて、自分で勉強している」
この状態のメンバーは、
組織の中で自然とエースになっていきます。
楽しんでいるから、疲弊しません。
楽しんでいるから、長く続けられます。
長く続けるから、圧倒的に深くなります。
孔子が言う通り、
「楽しむ者」には誰も及ばないのです。
育成で大切なのは「好む」段階に引き上げること
多くの組織の育成が「知る」段階で止まっています。
やり方を教える。
ロールプレイをする。
数字を追わせる。
これだけでは「知る」段階です。
メンバーが「好む」段階に移るためには、
「なぜこの仕事をやるのか」が
自分の言葉で言えるようになることが必要です。
「顧客の課題を解決できたときの達成感」
「チームの目標に貢献できている実感」
「この仕事を通じて自分が成長している感覚」
こうした「好きになる理由」を、
一人ひとりの中から引き出すことが、
育成の本当の役割だと思っています。
「好き」は外から作れない、でも引き出せる
「好きになれ」と言っても、
好きにはなれません。
「好き」という感情は、
外から押しつけることができないものです。
ただ、引き出すことはできます。
1on1で「最近、仕事をしていて一番楽しかった場面はどこですか?」と聞く。
その答えの中に、そのメンバーの「好き」のヒントがあります。
「顧客と話しているときが楽しい」なら、
顧客との接点が多い役割を設計する。
「数字が動いたときが嬉しい」なら、
数字の変化が見えやすい仕組みを作る。
「好き」を引き出して、
それを役割に反映させることが、
「好む」段階へ引き上げる最も確実な方法です。
まとめ
「これを知る者はこれを好む者に如かず、
これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」
孔子のこの言葉は、
2500年経った今も変わらない育成の本質を
突いています。
「知っている」だけのメンバーを、
「好き」なメンバーへ。
「好き」なメンバーを、
「楽しんでいる」メンバーへ。
この段階を意識した育成が、
組織全体の成長スピードを変えていきます。
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