「先代のやり方は、もう通用しないのか?」2代目・3代目社長が、敬意を持って組織を変える方法

「先代のやり方は、もう通用しないのか?」2代目・3代目社長が、敬意を持って組織を変える方法

先代が築いてきた会社を引き継ぎ、自分の代では新しい成長をつくりたい。そう思う一方で、今までのやり方を変えようとすると、長年会社を支えてきた社員との関係がぎくしゃくする。先代の功績を否定しているように見られたくない。

2代目・3代目社長にとって、これはとても自然な悩みです。先代の時代のやり方には、その時代の顧客、社員、競争環境に合った理由がありました。だからこそ、単純に「古いから変える」と言っても、組織は動きません。

先代のやり方を変えることは、先代の功績を否定することではありません。これまで会社を支えてきた顧客、社員、文化を大切にしながら、これからの市場で成長し続けるために必要な部分を更新していくことです。この記事では、敬意を持ちながら自分の代の組織をつくるための考え方を解説します。

なぜ、先代のやり方を変えることが難しいのか

過去の成功が、組織の当たり前になっている

長く続いてきたやり方には、必ず成功した理由があります。先代の人脈、勘、顧客との関係、社員の努力によって会社が成長してきたなら、そのやり方は社員にとって誇りでもあります。

そのため、新しい社長が変化を求めると、「今までの努力を否定された」と感じる人もいます。変化への抵抗は、単なる頑固さではなく、会社への愛着から生まれることもあるのです。

暗黙知が、特定の人に集中している

先代や古参社員の経験は、文章や手順書になっていないことが多いものです。どの顧客にどう声をかけるか。トラブルの兆候をどう見抜くか。社員同士の関係をどう保つか。大切なことほど、言葉にされずに受け継がれています。

これをそのままにして人だけが交代すると、組織は不安定になります。一方で、暗黙知を見える化できれば、過去の知恵を残しながら、新しい時代に合う形へ進化させられます。

社長と現場が、互いの不安を話せていない

社長は「変えなければ会社の未来がない」と感じている。現場は「急に変えられると困る」と感じている。両方に理由があっても、対話が足りないと相手の立場が見えず、対立だけが残ります。

変革の最初の仕事は、正しい答えを示すことではありません。お互いが何を守りたいのか、何を不安に思っているのかを聞き合うことです。

敬意を持って組織を変える3つの着眼点

着眼点1:経験と勘を、誰もが使える共通言語へ変える

先代や古参社員が持つ経験を、その人だけのものにせず、会社の資産に変えます。顧客対応、営業の判断、品質管理、採用、育成など、重要な場面で何を見て、どう判断しているのかを聞いてください。

聞き取った内容をそのままマニュアルにする必要はありません。若手社員や他部門の人にも分かる言葉に直し、実際に使いながら更新していくことが大切です。

個人の経験を組織の力へ変えるには、情報を見える化し、誰もが使える形にする必要があります。組織内で何でも見える化するメリットと方法もあわせてご覧ください。

着眼点2:一方的な指示から、対話中心の育成へ変える

これまでの組織では、先輩の背中を見て学ぶことが中心だったかもしれません。もちろん、仕事を通じて学ぶことは重要です。しかし、働き方や価値観が多様になる中で、「見て覚えて」は通じにくくなっています。

育成では、上司が答えを教えるだけでなく、本人が何を考え、どこで困り、次に何を試すのかを一緒に整理する対話が必要です。対話が増えると、若手は自分で考える力を育て、ベテランは経験を言葉にする機会を持てます。

対話型の育成を形だけで終わらせないためには、管理職が1on1で何を聞き、どう振り返るかが重要です。1on1ミーティングを効果的にする7つのポイントを参考にしてください。

着眼点3:仕組みで支え、個人の頑張りに頼り過ぎない

先代の時代にうまくいったやり方を、そのまま次の世代へ持ち込めないことがあります。市場、顧客、社員数、働き方が変わっているからです。

ただし、仕組みを入れること自体が目的になると、現場は疲弊します。誰のどの負担を減らすのか。どの判断を速くするのか。どの情報を共有したいのか。目的を明確にして、現場と一緒に仕組みをつくってください。

古参社員を、変革の味方にするために

古参社員へ「変わってください」と伝えるだけでは、協力を得にくいでしょう。まず、これまで何を大切にして会社を支えてきたのかを聞いてください。その経験や努力を、社長が理解しようとしていることが伝わると、対話の土台ができます。

そのうえで、「以前の方法が悪い」のではなく、「今のお客様や社員にとって、次に必要なことは何か」を一緒に考えます。変革の役割を一方的に与えるのではなく、古参社員にしかできない役割を尋ね、変革の担い手として関わってもらうことが重要です。

古参社員との関係を壊さずに変化を進めたい場合は、古参社員が変化に反発するとき、社長が最初にすべきことをご覧ください。

まとめ:受け継ぐことと、変えることは両立できる

先代から受け継いだ会社には、守るべき価値があります。そして、会社を次の世代へつなぐためには、変えるべきこともあります。

大切なのは、過去か未来かのどちらかを選ぶことではありません。これまで積み上げてきた経験や信頼を土台にしながら、新しい環境で必要なやり方を加えていくことです。

社長一人で答えを出そうとせず、現場と対話し、経験を見える化し、少しずつ変化をつくってください。その積み重ねが、自分の代らしい組織をつくります。

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